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本書は、著名な歴史家が一堂に会して行われた討論集会の結晶である。世界的な広い視野に立ち、「アメリカ帝国」を比較の視座から時間と空間の両面においてとらえ直す一方、「帝国」を支えるいくつかの大前提にもメスを入れ批判的に吟味している。そして、イラク戦争は「アメリカ帝国」の抱える諸問題の氷山の一角にすぎないと主張する。その意味で本書は、イラク戦争の性格付けとその歴史的位置、さらには近年の合衆国の対外行動とその論理を考えるうえで、日本の読者にとっても時宜を得た啓蒙書となっている。
目次 :アメリカは帝国か?―二一世紀の辺境と平和の諸問題;第1部 文脈(絶頂期に立ち会って―正義の帝国か?;帝国の言葉;戦争を知らせる太鼓);第2部 変容した関係(アメリカのヘゲモニーとヨーロッパの自立性、一九八九~二〇〇三年―イラク戦争を理解するための分析枠組み;反米主義と反欧州主義);第3部 類比(イラクはニカラグアのようなアラブ国家ではない―中米とニューライトの台頭;文明化の使命に基づく進展?―フィリピン植民地化に見られるアメリカ例外主義の前提;占領―歴史からの警告;「帝国再来の」時期の日本とアメリカ);第4部 未来(前進、リベラル兵士?―ブッシュのグランド・ストラティジーに見る十字軍の論理、何が問題なのか;きわめて興味深い帝国;『アメリカ帝国とは何か』)
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