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「ヤングケアラー」とは、身体的介護や家事労働をする子どもである前に、家族を気づかう子どもなのだ。覚醒剤依存の母親を、「守ってあげないとな」と想う小学生の少女。自分が学校にいる間に母親が緊急入院し、「すごい申し訳ない」と罪悪感を募らせる男子中学生。うつ病で過量服薬を繰り返す母親による束縛に苦しみながらも「心配で寝れない」と学校に行けなくなる女子中学生…。ヤングケアラーという言葉が子どもをラベリングする“記号”として流通し問題が可視化される一方で、親が責められないようにと沈黙し、孤立が深まる子どももいる。その経験や想いは複雑だ。本書は、当事者の語りのディテールを掘り下げ、当人の視点からヤングケアラー像を浮かび上がらせていく。困難の本質を明らかにすることで、地域に根差した居場所と、家族を包括する伴走型支援の必要性が見えてくる。
目次 :序章 「ヤングケアラー」への問いと出会う―家族を“心配する”子どもたち;第1章 兄の身代わりで空っぽになる自分―長期脳死の兄と麻衣さん;第2章 言えないし言わない、頼れないし頼らない―覚醒剤依存の母親とAさん;第3章 気づけなかった罪悪感と「やって当たり前」のケア―くも膜下出血の母親とけいたさん;第4章 通訳すると消える“私”―ろう者の母親とコーダのEさん;第5章 理不尽さと愛情―覚醒剤依存の母親とショウタさん;第6章 母親の所有物―うつ病の母親とサクラさん;第7章 学校に行かせてくれた「居場所」―失踪した母親、残された弟と無戸籍の大谷さん;第8章 “記号”が照らす子ども、“記号”から逃れる子ども;終章 孤立から抜け出すためのサポート
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