保管場所を取らないことや、いつでも好きなときに読書が楽しめることなどから、電子書籍市場は右肩上がりで成長しています。
とくに市場の8割以上を占める電子コミックは、無料サービスの拡大や巣ごもりによる読書ニーズ増加などが後押しし、10~40代を中心に利用が増加している状況です。
そのようななかでLINEマンガやkindleストアなど、複数ある電子書籍サービスは、さまざまな特徴を打ち出し差別化を図っています。
しかし、電子書籍に慣れていない方やこれから電子書籍を利用したいという方は、違いがよくわからず、どのサービスを選べばいいか迷ってしまうことも。
そこでこの記事では、そのうちのひとつ「honto」についてサービスの特徴やユーザーからの評価、利用するメリット・デメリットなどを紹介します。
hontoってどんなサービス? hontoの特徴5つ
honto(ホント)は、大手印刷会社の大日本印刷(DNP)が丸善ジュンク堂書店、文教堂、トゥ・ディファクトと共同で運営する電子書籍サービスです。
“紙と電子のハイブリッド書店”として位置づけられているhontoは多くのユーザーに愛されており、2022年1月には会員が700万人を突破しました。
運営元のDNPは、書籍印刷に携わるだけでなく、出版関連のネットワークやビジネスノウハウを持っているのが強みです。関連グループ会社には、丸善やジュンク堂書店、文教堂などの書店や書籍リユースのブックオフ、電子書籍取次のモバイルブック・ジェーピーなどがあります。
強力な基盤を持つ大手企業が運営していることから、hontoは非常に安全性が高い電子書籍サービスであることがうかがえます。サービス停止により購入した電子書籍が読めなくなるリスクが低いのは、ユーザーとしてはとても安心できるポイントでしょう。
hontoが優れている点は、これだけではありません。
特徴1. 紙媒体も買える電子書籍サイト
hontoの最大の特徴は、ハイブリッド書店と謳っているとおり、電子書籍だけでなく紙の書籍も購入できることです。
同一作品でも紙と電子では取り扱っている中間流通事業者(取次)が異なるため、他の電子書籍サービスでは電子のみを扱っていることが多いです。hontoでは紙・電子双方の取次と取引があり、どちらの媒体の書籍も提供可能にしています。自分の好きな媒体で作品を購入できるのは大きなメリットでしょう。
hontoでは、好きな作品の詳細ページへ遷移し、紙の書籍と電子書籍のどちらかを選択して購入へ進みます。電子書籍では冒頭の数ページが試し読みできる本があり、キャンペーンで1巻がまるごと試し読みできることもあるので、電子書籍で試し読みをしながら検討した後に紙書籍を購入するという使い方もできます。
また、ハイブリッド書籍らしく、紙と電子をまたいで行われるキャンペーンも豊富です。紙と電子の両方を利用する方だけではなく、基本的にはどちらかしか利用しないという方でもお得に活用できるサービスです。
支払い方法も、比較的多くの手段を取り入れています。
【紙の書籍と電子書籍で共通して利用可能】
- クレジットカード
- 図書カードNEXT
- hontoポイント・クーポン
【紙の書籍のみで利用可能】
- コンビニ支払い
- 電子マネー(Mobile Edy・モバイルSuica)
- 代引き
【電子書籍のみで利用可能】
- キャリア決済(spモード決済、auかんたん決済、ソフトバンクまとめて支払い)
- WebMoney
- BitCash
- リクルートかんたん支払い
- LINE Pay
- PayPay
- 楽天ペイ
特徴2. 70万冊以上の豊富な品ぞろえ!
hontoでは、大型書店級の約70万冊の本が取りそろえられています。コミックだけでなく、雑誌や料理本、図鑑、絵本など、ジャンルも多彩です。
紙の書籍と電子書籍を横断して検索することができ、細かい条件設定をせずとも好きな本を探せます。
またhontoでは、さまざまな本の専門家(ブックキュレーター)が「価値観が変わる」「イマジネーションが刺激される」など、独自のテーマでセレクトした書籍をブックツリーとして紹介しています。
自分で探すのとは違う、興味・関心に沿った新たな1作と出会えるでしょう。
その他、出版社やレーベルごとの特集やランキングなど、新しい作品と出会える仕掛けが盛りだくさんです。
特徴3. ブラウザ&アプリのどちらでも読める
「通勤時間にアプリでダウンロードしておいた本を、オフラインでサクサク読みたい」、「アプリはダウンロードしたくないため、ブラウザで読みたい」など、電子書籍サービスを選ぶ際には自分のニーズに合った閲覧環境が用意されているかどうかが重要です。
hontoは、ブラウザでもアプリでも読書を楽しむことができます。
ライトユーザーでアプリをダウンロードするほどでもないという方や、データ容量の都合からアプリは入れたくないという方はブラウザで閲覧できます。
逆に、データ通信量が気になるのでオフラインで電子書籍を読みたいという方や、メモやマーカーなど、しおり以外の便利な機能を利用したい方は、アプリがおすすめです。
ただ電子書籍を購入するときには必ずブラウザを経由するため、アプリだけで購入から閲覧までは完結できません。この点には留意する必要があります。
特徴4. 丸善やジュンク堂と連携! 取り置きもOK
hontoは電子書籍・紙の書籍の配送サービスだけではなく、リアル書店とも連携しているのが特徴です。丸善やジュンク堂書店、文教堂と連携しています。
「紙の本がほしいけれど、配送を待たずにすぐに手元にほしい」というときには、hontoからリアル書店の在庫を確認しましょう。
受け取りを希望する店舗に在庫があれば、1度の申込で最大10商品までお取り置きができます。在庫がない場合でも、全国から在庫を取り寄せることが可能です。
リアル書店で書籍を購入する頻度が多い方は、追加で「honto with(ホント ウィズ)」というアプリの活用がおすすめです。honto withを使うと、ほしい書籍がどの店舗のどの書棚にあるかまで調べられるため、書店で迷わずに目的の書籍を探せます。
また、近日発売する書籍の予約取り置きも可能で、リアル書店をよりお得に活用できます。
特徴5. 電子書籍でも紙の書籍でもポイントが貯まる
書籍を購入する際には、できるだけクーポンやポイントを活用してお得に買いたいと思うのではないでしょうか。
紙の書籍と電子書籍のどちらも購入する方は、「hontoポイント」が活用できます。
hontoポイントとは、電子書籍・紙書籍の通販・リアル書店で共通して利用できるポイントサービスです。hontoを利用した書籍の購入に限らず、hontoポイントサービス実施店舗であれば、リアル書店での購入でも、価格に応じてポイントが貯まります。書店での購入は、書籍だけではなく文房具などもポイントの対象になります。
貯めることはもちろん、リアル書店でhontoポイントを使用することも可能です。ポイントの使用には、hontoアカウントに連携させたポイントカードを提示するか、honto withアプリのhontoカード画面を提示します。ポイントカードは店頭で発行することが可能です。
加えて、LINEアプリでhonto公式アカウントを友だち登録して、LINEマイカードを利用する方法もあります。
また、本の購入以外にも、ポイントを獲得できるチャンスが数多く用意されています。
hontoでは1日1回ポイントが当たる「あしあと抽選ポイント」が行われています。またhonto withアプリでは、書店に行くだけでポイントがもらえるチェックイン機能が利用できます。さらに、グループ会社であるブックオフの宅配買取サービスを利用することで、ポイント還元を受けることも可能です。
こまめにポイントを貯めれば意外と大きな金額になるため、お得に書籍を購入したい方はぜひ活用してみましょう。
hontoの良い評判・口コミまとめ
700万人以上の会員がいるhontoの使い勝手については、多くのユーザーがSNSなどで情報を発信しており、サービスを知る上で参考になります。
ここでは実際にhontoを利用しているユーザーの生の声を抜粋しながら、他の電子書籍サービスと比較してhontoが優れている点を見ていきましょう。
昔好きだった本が電子で読める!
紙の書籍は場所や在庫の制約があるため、どうしても古い作品は店頭から姿を消してしまいがちです。
hontoでは過去作品も豊富にラインアップされており、昔好きだったコミックを電子書籍で買い直して楽しめます。
また、絶版になってしまったシリーズが電子書籍として復刻され、入手をあきらめていた書籍が今になって容易に手に入るということもあります。
電子書籍では、シリーズで購入するともらえるポイントが増えたり、価格が割引になったりするキャンペーンを実施することもあり、大人買いもしやすくなっています。
キャンペーンやクーポンが多い
hontoでは、キャンペーンやクーポン配布を頻繁に実施しています。こまめにサイトやSNSをチェックしていると、かなりお得に書籍を購入できるのが魅力です。メールでも定期的にクーポンが届くので、上手に活用すると新刊が20%~25%オフで購入できることも珍しくありません。
通常、紙の書籍は割引で販売されません。hontoでは、紙の書籍も対象となるキャンペーンが開催されていたり、オンラインで貯めたポイントを利用できたりするため、紙の書籍を購入したい方にも非常に便利です。
「読割50」で紙と電子をもっと楽しめる
「読割50」とは、提携書店で購入した紙の本と同じタイトルの電子書籍を、50%オフで購入できるサービスです。
紙と電子書籍を併用する理由としては「外出先では電子で、家では紙で読むなど、シーンによって使い分けるから」、「大事な本は紙書籍で保管し、普段読むのは電子書籍にしているから」といったものがあります。
他のサービスには見られないハイブリッド書店のhontoならではのサービスで、紙と電子の両方で本を読みたい方にとって最適です。
hontoの悪い評判・口コミまとめ
良いところがある一方で、SNSでは他の電子書籍サービスと比較して、hontoのマイナスな点について言及する投稿も見られます。
hontoユーザーが感じる悪い部分はどのようなものか、生の声を紹介します。
アプリ・ホームページが使いづらい
hontoでは、アプリで電子書籍を読みたい場合にもWebサイトでの電子書籍の購入が必要です。
そのため、アプリからWebサイトへ移動するのを面倒に感じる方や、使い勝手がよくないと感じる方もいます。
書籍の店舗在庫検索などの便利な機能についても、UIが使いにくく、うまく利用できないという意見がちらほら見られます。
書店が近くにないとメリットが少ない
自宅周辺や通学・通勤圏内に、提携書店がない方も少なくないでしょう。
hontoはリアル書店と提携しているのが強みのひとつですが、身近に提携書店がなく、各サービスのメリットを享受できないという声も耳にします。
hontoを使うメリットは?他の電子書籍よりオトクに使える理由
良い点、悪い点などさまざまな声がありますが、最終的にもっとも気になるのは「それは自分にとって適したサービスかどうか」というところでしょう。
どんなに多くのメリットがあっても、自分のニーズにマッチしていなければ、便利とは感じられないものです。
そこで、いくつもある電子書籍サービスのなかでもhontoを利用した方がいいと感じられる、3つのおすすめポイントを紹介します。
新規会員登録で50%OFFクーポンがもらえる!
hontoでは、新規会員登録をすると電子書籍を50%オフで購入できる「50%OFFクーポン」の配布キャンペーンを実施しています。
値引きの上限は5,000円までですが、ほしい電子書籍がある方で、まだhontoに会員登録をしていない方にとっては、利用しないともったいないキャンペーンです。
半額キャンペーンは新規会員登録以外で実施することはほとんどないため、まとめ買いの機会としても最適です。
ただし、このクーポンの有効期限は会員登録した月の翌月7日までとなっており、登録後には早めにクーポンを利用することをおすすめします。
電子書籍でも店舗でも1ポイント=1円で使える!
前述のとおり、貯めたhontoポイントはhontoと提携書店の双方で利用可能です。
期間限定ポイントは有効期限が短い点に注意が必要ですが、換算レートも1ポイント=1円とわかりやすく便利です。
それから意外と知られていないことですが、hontoでは図書カードNEXTの残高も1円=1ポイントとして交換できます。
ちょっとしたギフトやプロモーションで図書カードをもらっても、リアル書店を利用しないため図書カードを使わないという方も少なくはないでしょう。そういった方でも、hontoポイントに交換して電子書籍やネット書店での支払いに活用できるので、ユーザーにとても好評なサービスとなっています。
ただ、リアル書店でのポイント使用は50ポイント以上からとなる点には注意が必要です。
スマホ以外のデバイスでも見られる!
hontoで販売している電子書籍はマルチデバイス対応で、Windows、Mac、iOS、Android対応のアプリおよび、ブラウザビューアで閲覧が可能です。
アプリには最大5台までの端末を登録でき、通勤電車ではスマホで、寝る前にはタブレットで読書するなど、シチュエーションごとにお好みの環境で読書できるのがメリットです。
なお、ブラウザビューアはEPUBコンテンツ(紙の書籍のように1ページずつめくって閲覧するコンテンツ)のみに対応しており、BSFコンテンツ(コマごとに拡大表示され、コマ単位で閲覧するコンテンツ)には対応していません。
また、Firefoxが推奨ブラウザに含まれていないことも留意しておきましょう。推奨していないブラウザでは電子書籍の閲覧ができない、ページめくりやしおりなどの機能が正常に動作しない可能性があります。
hontoを使う際のデメリットは?
これまで紹介してきたとおり、hontoの強みは紙の書籍も入手でき、リアル書店とも連携していることです。しかしながら、それゆえのデメリットも存在します。
ポイントの対象書店がまだまだ少ない
hontoポイントサービスの実施店舗は丸善(43店舗)、ジュンク堂(MARUZEN&ジュンク堂含む・43店舗)、文教堂(77店舗)、その他定型書店(21店舗)の計184店舗です(2023年3月時点)。
口コミまとめでも触れたとおり、これらの店舗がない場所では書店でのポイント獲得・使用ができないため、自分の行動範囲に提携するリアル書店がない方にはメリットが感じられないでしょう。
hontoポイントは基本的にグループ会社内で運用されているため、他のメジャーな書店がhontoポイントを導入する可能性は低いかもしれません。
紙の書籍の発送が遅く、なかなか届かない
Amazonなどと比べ、紙の本をネット購入した際に配送が遅いという評価がSNSなどで見られます。
hontoでは書籍によって発送可能日が24時間以内、1~3日、7~21日と異なるため、注文した書籍によっては手元に実物が届くまでかなり日数がかかります。
ただ、他のネット書店でも、在庫がある商品は数日中に発送、取り寄せ商品は2~3週間発送までに時間がかかるといった対応はそれほど珍しくありません。
それゆえ、hontoが特別遅いというわけではなさそうです。
すぐに紙の本を買って読みたい場合は、他のネット書店を含めて在庫があるかどうか確認し、早く手元に届きそうな書店を利用することも検討するとよいでしょう。
hontoで電子書籍を買うのに向いているのはどんな人?
世の中が便利になり電子書籍が普及しても、紙書籍のよさはなくなりません。
本好きの方による、「紙の本の質感が好き」、「長期保存したいため紙が最適」といった声もあります。
hontoを利用して電子書籍を買うのに向いているのは、「紙の書籍と電子書籍をお得に併用したい」という方でしょう。
ポイント活用の幅が広い
購入した書籍だけではなく、キャンペーンやポイントもネットとリアルで横断的に活用できるというのは、hontoならではの大きな価値でしょう。
近年は、紙の書籍か電子書籍のどちらか限定でふろくやおまけがついていることも増え、そのときだけ両方の書籍を購入するという方も多いのではないでしょうか。そんなときに、書店と電子書籍サービスのそれぞれでポイントが分かれてしまうよりも、hontoポイントとして合算されたほうが、ポイントが貯まりやすくなってお得です。
また、リアル書店では文房具などの書籍以外の商品も購入できることを加味すると、紙の書籍を読まない方でも、リアル書店で十分にポイントが活用できると考えられます。
さらに書店で商品を購入する際には、Pontaカード、dポイントカード、楽天ポイントカードのいずれか1枚をhontoと連携すると、hontoと連携したカードの両方にポイントが付与されます。これにより、実質2倍のポイントが得られて非常にお得です。
紙の書籍をさらに楽しめるサービスが豊富
これまで紹介してきた特徴以外にも、hontoには紙の書籍を存分に楽しめるサービスがたくさんあります。
プリントして使える無料のブックカバー
hontoには、自分でプリントアウトして使えるブックカバーが80種以上も用意されています。会員登録さえすれば誰でも無料で利用できますが、一部デザインは会員登録をしなくても利用可能です。
人気マンガやゲーム作品とコラボしたデザインや、過去にリアル書店で配布されて人気だった柄などもあり、本を大事にしたい方にとって非常にうれしいサービスです。
本を保護するフィルムコートサービス
長期保管を目的として購入した書籍や、特別なカバーがかけられた初回限定盤の書籍など、汚したくない紙の書籍には、有料オプションの「フィルムコートサービス」がおすすめです。図書館に置かれている書籍のように、書籍のカバーにラミネートフィルムを貼ってもらえます。
フィルム加工によってカバーが丈夫になるので、繰り返して読むことが多い参考書や図鑑などで利用するのもひとつの手です。同じく有料オプションの「ギフトラッピングサービス」も使って、長く楽しめる贈り物として書籍を購入してもよいでしょう。
注文当日に書籍を届けてくれる「本のお届け便」
もし会社や学校、住居が丸の内、日本橋、後楽園、お茶の水、吉祥寺周辺であれば、取り置きした本を当日中に自転車で届けてくれる「本のお届け便」を利用できます。
別途配送料は必要ですが、本を買いたいけれども書店に行く時間がないという方や、ネット注文だと待ちきれないという方は活用してみてください。
まとめ
“紙と電子のハイブリッド書店”であるhontoは、大型書店級の商品をそろえており、電子書籍・紙書籍の通販・リアル書店を横断的に活用できることが大きな特徴です。キャンペーンやクーポンが豊富でお得に書籍を購入できる一方で、提携するリアル書店が近くにないとメリットが感じにくい一面もあるようです。
しかしながら、図書カードNEXTからhontoポイントへの交換機能や「読割50」など、ハイブリッド書店だからこその独自サービスは、書籍を購入する手段の幅を大きく広げてくれます。この記事で紹介した機能をうまく活用して、読書を楽しんでください。