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聖母マリアやエヴァと並んで、マグダラのマリアは、西洋世界で最もポピュラーな女性である。娼婦であった彼女は、悔悛して、キリストの磔刑、埋葬、復活に立ち会い、「使徒のなかの使徒」と呼ばれた。両極端ともいえる体験をもつため、その後の芸術表現において、多様な解釈や表象を与えられてきた。貞節にして淫ら、美しくてしかも神聖な、“娼婦=聖女”が辿った数奇な運命を芸術作品から読み解く。図像資料多数収載。
目次 :第1章 揺らぐアイデンティティ(福音書のなかのマグダラのマリア;外典のなかのマグダラのマリア;「罪深い女」=マルタの姉妹ベタニアのマリア=マグダラのマリア;隠修士としてのマグダラ;『黄金伝説』のなかのマグダラ);第2章 マグダラに倣って(イミタティオ・マグダレナエ)(フランチェスコ修道会;ドミニコ修道会;信者会(コンフラッテルニタ)とマグダラ;聖女たちの規範としてのマグダラ;サヴォナローナとマグダラ);第3章 娼婦たちのアイドル(一四世紀のナポリ;一五世紀のフィレンツェ;16世紀のローマ;17世紀のローマ);第4章 襤褸をまとったヴィーナス(「この上なく美しいが、またできるだけ涙にくれている」;「何と美しいことか、見なければよかったほどだ」;「たとえ深く傷ついた人でも、なおも美しいということはありうるだろう」;エヴァと聖母マリアのあいだ;ジョヴァンニ・バッティスタ・マリーノの詩)
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