孤島の館やパイプ煙草をくわえた名探偵が登場する古典本格ミステリから、誰もがだまされる叙述トリックミステリまで
ミステリーと呼ばれる小説をジャンル別にまとめました。
有名なジャンルから、ニッチなジャンルまで、ありとあらゆるミステリー小説を網羅!あなたが興味をそそられるミステリーが必ず見つかるはずです!
ミステリーと呼ばれる小説をジャンル別にまとめました。
有名なジャンルから、ニッチなジャンルまで、ありとあらゆるミステリー小説を網羅!あなたが興味をそそられるミステリーが必ず見つかるはずです!
アナグラム (あなぐらむ) |
言葉の並び替えや綴りの入れ替えなど、言葉遊び。
レッドラム を英語にして逆から読むと REDRAM ⇒ MARDER ⇒ 殺人者 になるなど。 アメリカのミステリ作家、エラリー・クイーンが小説内で多く使い浸透をした。 ちなみに、英語やローマ字に直すタイプのアナグラムは、英語圏の文化の方のほうが日本人よりあっさり見抜いてしまうのだとか。 |
アリバイ (ありばい) |
現場不在証明。有名すぎるほど有名な言葉。 犯罪が行われた時間帯に、どこで何をしていたかという証明。近年ミステリーは、アリバイが無い人は大体犯人ではない。 |
安楽椅子探偵 (あんらくいすたんてい) |
アームチェア・ディテクティブ。現場に赴かず、事件を部屋の中だけで推理・解決する探偵、または作品群。 近年の日本ミステリーでは『謎解きはディナーのあとで』などがそれに当たる。 |
ヴァンダインの20則 (う゛ぁんだいんのにじっそく) |
推理小説家S・S・ヴァン=ダインが示した、推理小説の20の規則(お作法)。 推理小説家の入門者へ向けた指針とされているが、厳密なルールではなく、すべてを守っている推理小説は逆に少ない。 『事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。』などがある。 |
首なし死体 (くびなししたい) |
読んで字の如し、首のない死体のこと。 被害者の特定を避ける、犯人のトリック(自分が死んだように見せかける)など様々な理由が存在する。 三津田信三著『首無の如き祟るもの』など。 |
クローズドサークル (くろーずどさーくる) |
外部から隔絶された空間を舞台をするミステリー作品。山荘、孤島などミステリーにおいてはメジャーなジャンル。 アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』やゲーム『かまいたちの夜』など。 外部から隔絶された空間というのは『電話線が切れて助けも呼べない』などの要素も含まれるが、 携帯電話やインターネットが台頭してきた現代では、制約があり難しくなってきたジャンルでもある。 |
交換殺人 (こうかんさつじん) |
殺意を持った2人以上の人物が、それぞれの殺したい相手を殺害すること。 犯人と被害者との間の接点が薄まるため、動機の絞り込みが困難になる手法。 アリバイ工作もしやすくなる。物語全体のトリックになりやすい。 |
孤島 (ことう) |
クローズドサークルものの一つであり、嵐や船の遭難などで外部から遮断された島が事件の舞台となる。 綾辻行人の『十角館の殺人』など。孤島が舞台の物語は、「あ、これはクローズドサークルのミステリーだな」と思って読むとよい。 |
時刻表トリック (じこくひょうとりっく) |
トラベル・ミステリーによく使用される、アリバイ工作トリックの一つ。 交通機関を使用したと犯人がアリバイを提示するが、実際は別の移動手段を用いて犯行に及んでいたりなど。 アリバイトリックの王道として西村京太郎作品に多く用いられてきたが、現代ミステリではあまり用いられない。 |
執事・メイド・使用人 (しつじ・めいど・しようにん) |
ヴァン・ダインの二十則に記されている、犯人についてのルール。 『端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。』 容疑者に『執事』や『メイド』『使用人』が出てきたら、あやしくても「犯人ではない」と思ったほうが無難。 もしくは、「使用人だが、館の主の血縁関係か、深い関係がある人物かも」と思って読み進めると楽しめるはず。 |
叙述トリック (じょじゅつとりっく) |
文章上の『地の文』の仕掛けによって、読者のミスリードを誘う手法。 良くあるケースが、登場人物の性別の『中性的な名前と仕草の描写』による誤認。 フェア・アンフェア論争で盛り上がるが、読者の読了後の衝撃は非常に大きく、人気のあるジャンル。 『絶対にネタバレ厳禁』と紹介されている本は叙述トリックな場合が多い。 叙述トリックは、『初見で綺麗に騙されて』『すべてを知った二回目でまったく新しい読み方ができる』と二度おいしい。 |
ダイイング・メッセージ (だいいんぐ・めっせーじ) |
死ぬ間際に被害者が残したメッセージ。加害者が偽のメッセージを書いたりすることもある。 なぜか直接その犯人の名前を書かない。謎が深まるばかりの書き方をするお茶目なギミック。 |
探偵 (たんてい) |
広義では職業だが、ミステリー小説においては『探偵役』を指し、謎解き役としての役割を負う。 なので、職業探偵ではなくても、最終的に謎を解く人物は警察であっても一般市民であっても『探偵』となる。 実は描き方の制約がかなり多く、『探偵が犯人であってはいけない』『特殊能力や偶然で解決してはいけない』などがある(ノックス十戒及びヴァンダイン20則より)。 ただし、近年はこの古典ルールの裏をかいたり、あえて無視するタイプのものもあり、読者をいろんな意味で驚かす探偵もいる。 |
倒叙ミステリー (とうじょみすてりー) |
最初に犯人がわかり、そこから動機や手法を暴いていく手法のミステリー。 TVで人気になった『新・刑事コロンボ』『古畑任三郎』などがこのミステリー手法を使っている。 |
読者への挑戦 (どくしゃへのちょうせん) |
解決編に入る前に著者が読者へと送る挑戦状。 事件解決に必要な情報を全て提示し、小説がフェアであることを示すメッセージである。 エラリー・クイーンの国名シリーズが有名。 |
ノックスの十戒 (のっくすのじっかい) |
ヴァンダインの20則と並び、有名なミステリーの指針。ロナルド・A・ノックスが提唱したミステリー小説をフェアに展開するためのルール。 ヴァン・ダイン20則よりも、端的で合理的なものが多い。 5番『中国人を登場させてはならない』などトンデモ内容もあるが、当時1929年はまだ東洋は未知の文化で、中国人は奇術を使うとイギリスでは思われていたため。(冗談半分で書いたものとも言われている) |
ハウダニット (はうだにっと) |
How done it?・・・『どうやってやったか』の略語。 密室殺人など、不可能犯罪のトリック解明がキモになる。 |
糸と針 (はりといと) |
密室殺人における『物理トリック』のこと。 糸と針を用いて犯行後に鍵を室内に落とし密室を作った、などでお馴染みのアレです。 |
フーダニット (ふーだにっと) |
Who done it?・・・『誰がやったか』の略語。 ミステリーではお馴染み、”誰が”犯人か?を表した言葉。 『クローズド・サークル』ものによく見られる。 |
フェア・アンフェア (ふぇあ・あんふぇあ) |
作中に謎解きに必要な情報がルールに従って記載されているものを『フェア』。逆に虚偽の記述があったり、情報が不十分なものを『アンフェア』という。 ミステリマニア同士ではストーリーではなくこのフェア・アンフェア談義の方が盛り上がることもしばしば。 アガサ・クリスティの『アクロイド殺し』がフェア・アンフェア論争の先駆け作と言われる。 叙述トリックを用いたミステリがフェア・アンフェア論争になりやすいが、近年はフェア・アンフェアのぎりぎりの作品も多い。 |
双子 (ふたご) |
双子はミステリーの中では『入れ替え』と同義の符号。
かなりの確率で入れ替えに近しい現象が起こる。(最初から逆だったなど) 無意味な双子の登場は不要なミスリードとしてもお作法としてあまり歓迎されない。 |
ホワイダニット (ほわいだにっと) |
Why done it?・・・『なぜやったか』の略語。 犯行動機を表し、ホワイダニットが中心のミステリーでは犯人の人物像に焦点をあてたドラマチックな作品が多く見られる。 |
ミスディレクション (みすでぃれくしょん) |
わざと読者を真相と異なる方向へ導くミステリー手法。 当初一番怪しいと思われていた人物が犯人ではなかったり。 『名探偵コナン』の毛利小五郎の発言もこれに当たるが、毛利のおっちゃんの意見は読者・視聴者もだれももう信じなくなっているので役割が果たせていない気もする。 |
見立て殺人 (みたてさつじん) |
物語など何かになぞらえた殺人(連続殺人率がとても高い)や、犯行後に死体をそのように装飾すること。 金田一少年の事件簿「オペラ座館殺人事件」「蝋人形城殺人事件」「黒死蝶殺人事件」などがこれに当たる。 ビジュアル的に不気味なものが多い。 |
未知の毒薬 (みちのどくやく) |
ノックスの十戒でも禁止されている殺害方法の一つ。
『未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機械を犯行に用いてはならない』 推理する読者も、「もしかしたら未知の薬物が使われたのかも」と思いながら読む必要は全くない。(『ひ○○○のなく頃に』を除く。) |
密室 (みっしつ) |
ミステリーの舞台としては、最も代表的なのがこの『密室』。
施錠された部屋など、外部からは入れない(ように見えるだけだったり)閉鎖空間。 ちなみに、密室に物語と関係のない『隠し通路』があった、などはお作法上ルール違反となる。 『密室』はミステリの代表トリックであり、数多くの作家・評論化がその『トリックの種類』を分類している。 たとえば、密室だと思っていたが、 ・ 犯行時、室内に殺人犯はいなかった(致命傷を負った犠牲者が、部屋に帰って鍵をかけた) ・ そもそも密室ではなった(犯人が鍵がかかっていると言っただけ) ・ 外側から仕掛けで鍵がかけられた(糸と針のミステリー) など。 |
ミッシング・リング (みっしんぐ・りんぐ) |
直訳では『失われた環』。 一見無関係に見える人物や事件に、実は共通する事柄が存在するミステリー。 連続殺人事件などに多く見られる。 |
メタ・ミステリー (めた・みすてりー) |
作中作や著者や読者が犯人など、物語の構造自体がミステリーになっているミステリーのこと。 『アンチミステリー』とも呼ばれるものも多く、非常に難解な作品が多い。 竹本健治著『匣の中の失楽』など。 |
ワトソン (わとそん) |
事件の記述役や探偵役のパートナーや助手。名探偵シャーロック・ホームズの助手であるワトソンが由来。 探偵役に代わり事件の情報を読者に与えてくれる有り難い存在。 探偵の助手ではなくても、助手やヒントを与えてくれる役割の人物をワトソン役ともいうが、大抵はミスディレクション役であることが多く、彼らの発言を『正しい/正しくない』と見抜きながら読むと一層に楽しくなる。 |